クラウドサービスの導入ポイント-サイト構築系サービス

2019年2月23日
systemuser

 以前のコラムでクラウド導入にあたって前提とすべき対象業務やその目的、制約事項等について記載しました。こちらのコラムでは、その続きとして機能にスポットを当て、サービスごとにどこまでの業務改善を目指し、そのために必要となる機能には何があるのかを明らかにすることで、導入に当たっての判断基準がわかるようにしていきたいと思います。

1.Webサイト構築系サービス

 Webサイトや専用のECサイトを構築出来るサービスがありますが、ここで適用できる業務と機能の関係は以下の通りです。目的によって選ぶべきサービスが異なってきますので、目的をしっかり定義しておきましょう。

◆最低限の会社のサイトを作りたい
 Webサイトを構築するための機能として、標準テンプレートやグラフィカルな機能も標準で備えているものが多いため何でも良いのですが、余りに自由度が高かったりすると初心者にはなかなか扱えなかったりしますので、求めるレベル感を明確にしておきましょう。
 初心者向けのぺライチなどは最低限必要な情報を全て一つの画面に配置して構築するのが特徴で、シンプルかつ簡単に作っていくというコンセプトですので、初心者の方には非常にお勧めです。
必須機能:標準テンプレート、画像などの素材、初心者向けガイダンス

◆訪問する人と双方向のやり取りがしたい
 この場合はサイト構築だけでなく、情報を発信する機能も必要になってきます。双方向という意味では、それぞれから見た情報発信機能を整理しておきます。
・企業側から見た場合に必要となる機能
 企業が発信する情報とは、サイトに記載する企業情報だけではありません。新着ニュースやブログがあれば企業のリリース情報を日々アップできます。また不動産ような企業であれば、取り扱っている物件情報を登録出来ることも必要でしょう。さらに訪問者から見た場合とも関連しますが、サイトを通して行われた問い合わせについては漏れなく対応することが必要ですので、サイト内で管理できることが望ましいと言えます。これが例えばメールの場合、紛失すると二度と問い合わせの内容は見れなくなってしまいます。

・訪問者から見た場合に必要となる機能
 訪問者とは企業のサイトを見に来る人たちですが、何か気になる情報に対してリアクションしたり、その場で問い合わせることが出来れば、双方向のやり取りにつなげることが出来ます。またSNSで紹介してもらうため、ソーシャルボタンがあれば、広く周知されるきっかけとなるでしょう。
 ぺライチと同じくサイト構築サービスであるWixでは、ブログや顧客のコンタクト履歴が管理出来たり、メルマガが作成&発信できるようになっており、双方向型サイトを構築するのに向いています。ただし扱える画像やボタン、オプションが沢山ありますので、実際の構築は経験者に委ねるのが良いかもしれません。
必須機能:新着情報、ブログ、問い合わせフォーム、メール管理、商品更新
推奨機能:問い合わせ履歴管理、メルマガ、お知らせ通知、ソーシャルボタンなど

◆企業ページを広く知ってもらいたい
 この場合はそもそも皆が見たくなるようなサイトにするため、コンテンツの内容は重要ですが、そのための動画やギャラリーなどのメディア系が扱えることはまず必須でしょう。そのうえで検索サイトでより上位にヒットさせるような調整が出来るSEO機能や、SNSを使って訪問者からその友達へシェアしてもらえるような機能があることが望ましいです。前述のWixでもこの辺りはカバーしていますが、サイト構築系サービスは豊富に存在していますので、目的とすることを満たせる機能があることを確認しましょう。
必須機能:コンテンツ制作サポート、SEO対策機能、独自ドメイン接続、広告抑止、メルマガ、アクセス解析

2.ECサイト構築サービス

 ECサイトサービスでは、サイトを通して自社の商品を売るためのECサイトを構築することが出来ます。Webサイト構築系のサービスにも、決済連携機能のオプションを付けることでEC機能が実現できるものはありますが、ECサイト専用の構築サーヒスの方が適しています。その理由は商品の登録や在庫の管理だけでなく、決済機能も複数方法を対応していたり、キャンペーンやクーポンなど販売にかかる専用の機能や、SEO機能なども豊富に搭載して売る仕組みの構築にフォーカスされているからです。これと並列する考えに楽天などのECモール系サービスがありますが、あくまでモール(仮想商店街)の中のショップであり、サービスによりターゲット層(企業から見た顧客)が異なるため、取り扱う商品と売り場が適切がどうかを確認する必要があります。集客面では圧倒的ですが、モールとしての統一感を持たせるためにデザイン面では制約が出てくるなどの条件がありますので、そもそもどちらで行くかは十分検討しておきましょう。
 そしてECサイト構築サービスは月額の基本使用料に加え決済手数料が掛かってきます。その割合はサービスによって異なりますが、月額型に偏重している場合はかかる費用が固定費となるために、ショップの売り上げ拡大と共に利益率が向上していきますが(売るほど儲かる)、決済型偏重の場合変動費となり、売り上げをあげても利益率はあまり変わらない、という特徴があります。とは言え必要機能を備えたサービスがそれしかない、ということであれはサービスの拡充度(どの程度の機能を使うのか)と手数料の関係を評価しておく必要があるでしょう。ECサイト構築系サービスにおける、業務目的と必要機能の関係は以下の通りです。

◆小さいロットで自由に売る
 この場合は基本的な商品管理や決済機能があれば30分程度でショップが立ち上げられるオールワン型のサービスが向いています。但し管理できる範囲は限られてきますので、商品が増えて後々商品カテゴリを分けると言ったことは難しくなります。前述の通り事業者により決済手数料が変わってきますので、損しないものを選択しましょう。
 スモールビジネス向けECサイト構築サービスであるSTORES.JPでは、ショップ回折に最低限必要な機能が一通り揃っており、非常に簡単に立ち上げることが出来ます。またこちらも手軽さで代表的なBASEでは、様々なオプションがアプリという形で追加でき、やはり最低限の手間のみで簡単に立ち上げることが可能です。

必須機能:商品登録、決済機能
推奨機能:ギフト設定、リピート機能(前回と同じ注文)、Webサイト構築と同等レベルのマーケティング機能など

大きなロットで売る
 商品をそれなりに大量に扱う場合は、商品ごとの売り上げ管理や在庫管理、SKUなどきめ細かに管理できることが求められます。また物流を考えるとかなりの量の商品を扱う前提ですので、運送会社との連携などは必須となります。様々な顧客と取引することになりますので、運送芸者は出来れば複数扱えるところが良いと思います。さらに、顧客は個人だけでなく法人もいると考えられますので、顧客管理機能としてマスター化して管理する機能や、請求書、支払管理なども充実している必要があります。
 大規模となるとなかなかクラウドだけでの対応は難しくなりますが、Salesforce Commerce Cloudはグローバルレベルで展開可能なショップが作れます。商品ごとの販売分析を通してボトルネックを改善したりリアル店舗との融合、Salesforce本体と連携することできめ細かい顧客管理も可能になります。ただここまで来ると構築そのものにも専門性が問われますので、専門家に委託するのが良いでしょう。

必須機能:顧客管理、請求・支払管理、商品管理、購買履歴等、配送

以上、今回はサイト構築系サービスにフォーカスしてみました。もちろん企業の目的は様々ですので、これらの枠だけでは収まらない基準になると思いますが、詳細を検討する前にざっくりと候補となるサービスを選ぶうえで指針に出来るかと思います。

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